主な業務紹介 

◇クーリング・オフ ①

☆「契約」と「クーリング・オフ」の制度

「契約」と聞かれて、あなたは何を思いつきますか。

 

土地やアパートの貸し借り、生命保険や自動車保険などの加入などの際には相手方と「契約」を結びますが、実は、私たちは、毎日、「契約」を結んで生活しているのです。

 

スーパーで食品を買ったり、宴会の帰りにタクシーを利用したりしていますが、これも「契約」になります。

 

あなたがスーパーのレジへ買い物を持って行くのが「この品物を買います」という「申し込み」になり、レジ係の店員さんが清算して「○〇円になります(売ります)」というのが承諾で、ここでお互いの意思表が合ったことになり、「契約」が成立し、あなたはお金を支払いますね。

 

いったん成立した契約は守らなければなりません。これが契約の原則です

 

とはいっても、いきなり若くてきれいな女性に勧誘されたり、早く買っておかないと後で損をしますよ、など言われ、ゆっくり考える時間もなく契約させられた場合も、この契約の原則を守らなければならないとなれば、あなたは大変不利な立場に追い込まれます。

 

このため、特定の取引に限って、契約後も一定の期間、消費者に考える時間を与え、「消費者が一方的に契約を解除することができる」とした制度が、「クーリング・オフ」の制度です。

 

なお契約の原則の例外ですから、後で詳しく述べますが、次のような場合の契約などには使えませんので注意してください。

   ☆普通に店に行って商品を買ったときは、クーリング・オフができません。また新

    聞などの広告を見て電話やインターネットで申し込む通信販売も、原則、クーリ

    ング・オフできません。

 

☆クーリング・オフの種類

クーリング・オフには、「法律で設けられているもの」と「業界や個別の業者が自主的に設けているもの」があります。

 

法律で設けられているものでは、特定商取引に関する法律(特定商取引法)のクーリング・オフが一般的に使われていますが、これを適用するためには販売方法、商品・サービス等の条件があります。

 

特定商取引法では、訪問販売の場合、申込書面または契約書面など、契約の内容を記載した書面の交付が消費者になされた日から計算して、8日目までクーリング・オフ期間としています。

 

また、その他の法律で設けられているクーリング・オフ制度も、適用するためにはそれぞれの法律によって条件が違いますので注意してください。

 

なお、業界団体や事業者が自主的に設けているクーリング・オフ制度については、契約書でよく確認してください。

 

☆クーリング・オフの効果

クーリング・オフをその決められた期間内に発信すれば、発信した時点で、契約は最初からなかったものになります。

 

従って、事業者は契約解除に足して、解約手数料等の一切の金銭の請求をすることができません。

 

消費者はどのような名目であれ、金銭を払う必要はありません。

 

すでに払ったお金があれば、全額戻ってきます。

 

受け取った商品は、事業者の費用負担で返品ができます。

 

すでに工事が器具の取り付けがされていた場合は、無料で元の状態に戻すよう業者に請求ができます。

 

☆クーリング・オフの注意点

クーリング・オフは特別な制度ですので、クーリング・オフできるものとできないものがあります。

 

契約は、締結するとお互いに守らなければならないとされています。また、相手の同意がないと解約できないのが民法の原則です。

 

つまり、一方的に契約を解除することは原則として認められていません。

 

ところが、クーリング・オフ制度は消費者からの一方的な契約の解除を認めていますので、民法の契約ルールの例外的な制度といえます。

 

したがって、全ての契約についてクーリング・オフ制度が適用できるわけではありません。

 

☆クーリング・オフの通知は必ず書面で

クーリング・オフは、「書面で行う」と法律で定められています。

 

これは、クーリング・オフをしたかしなかったかをめぐって双方が水掛け論になることを避ける意味があります。

 

基本的に書式は何でもかまいません。

 

ハガキでも封書でもクーリング・オフの通知はできますが、一番確実な方法は、内容証明郵便で、かつ配達証明付きにすることです。内容証明郵便は証拠性が高く、後々のトラブルを未然に防ぎます。

 

なお必ず記入する項目は、

・契約日

・商品名

・契約全額

・契約会社名

・解約する旨

・自分の名前と住所  

 

(通知文例)

平成〇〇年〇〇月〇〇日

郵便番号 ×××‐××××

住所 

氏名

 

契約解除(申込撤回)通知

〇〇〇〇株式会社

代表取締役 〇〇〇〇殿

平成〇〇年〇〇月〇〇日付けで貴社と締結した(に申し込んだ)〇〇〇(商品名)の購入契約(購入申込み)を解除(撤回)します。

つきましては、支払済みの〇〇〇、〇〇〇円は返金してください。

なお、商品については早めにお引取りください。

 

☆書き方のポイントは、

•契約書を受取った日を含めて8日間(または20日間)以内にはがきなどで通知する。

•契約書にある販売会社宛に通知する。

•はがきを書いて、証拠を残すために両面をコピーし保管する。

•郵便局で「特定記録郵便」か「簡易書留」にして送付する。控えを証拠として保管

 する。

 ・クレジット契約の場合は、クレジット会社と販売会社に同時に通知する。