主な業務紹介
◇相続 ⑤
☆遺産の分割
(1)遺産の分割
・原則、相続人間の協議によります。⇒協議が整わないときは、家庭裁判所の審判により
ます。
(2)遺産の分割の基準
・相続財産には、動産、株券、債権、現金、動産など様々なものがあります。
・法定相続分の割合が決まっていても、具体的にだれがどの不動産を取得するかなど、利害を調整する必要があります。
・民法では、遺産の分割は、遺産に属する物または権利の種類・性質、各相続人の年齢・職業・心身の状態・生活の状況、その他一切の事情を考慮して行うことと規定されています。
☆相続分の効力の発生時期
・相続回復請求権とは、遺産が民法の定めたとおりに相続人に相続されず、第三者に侵害
された場合に、取り戻すことができる権利をいいます。
・たとえば、相続人でないのに相続人として誤信して相続財産を占有していたり、共同相
続人が自分の持分であると誤信して他の相続人の相続分を占有している場合などに、こ
の請求権を行使します。
・この請求権は裁判によって行使することも、裁判外で行使することもできます。
・この請求権は、相続人またはその法定代理人が、これを知った時から5年間行使しない
と、時効により消滅します。
・また、相続開始の時から20年を経過したときも、この権利は消滅します。
☆相続の承認と放棄
・法定相続人であっても、相続をする(承認)か、しない(放棄)かを自分で選ぶことができ
ます。
(1)単純承認
・被相続人の権利・義務をすべて受け継ぐことです。
・したがって、財産はもちろん債務も受け継ぎます。
(2)限定承認
・相続した財産で支払える限度においてのみ、被相続人の債務を支払うというの
が限定承認です。
・この場合、相続財産の目録を家庭裁判所に提出することが必要となります。(相続人が複数いる場合は、全員が共同で申し出しなければなりません。)
(3)相続の放棄
・その相続に関して財産も債務も受け継がないことです。
・したがって、放棄すると、はじめから相続人とならなかったものとみなさ
れ、その相続と一切関係がなくなるわけです。
・代襲相続もありません。
・被相続人が膨大な債務を負っているときや、他の相続人の相続分を多くする
場合などに放棄という選択をすればよいわけです。
(4)熟慮期間と手続
・相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から、3か月以
内に、単純・限定承認または放棄をしなければなりません。
・この期間を「熟慮期間」または「考慮期間」といいます。
・単純承認には、特に手続きは必要ありません。
・限定承認と放棄は、家庭裁判所に申し出ることが必要です。
・限定承認と放棄は原則、撤回できません。(3か月以内であっても)
・制限行為能力者が単独でしたとき、詐欺・脅迫を受けてしたときは、取り消す
ことができる。
(5)法定単純承認
・相続人が単純承認の意思表示をしなくても、次の場合は、法律上単純承認した
とみなされます。
①相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき
②3か月の熟慮期間を経過したとき
③限定承認、相続放棄した相続人が、相続財産の隠匿などの背信行為をし
たとき
◎相続人の不存在
☆相続人が不明のときの財産
・被相続人に法定相続人がいるかどうかわからないとき⇒相続人不存在の制度
・相続人不存在の制度とは、相続人を探し出す間、相続財産自体を一種の財団法人として考
え(相続財産法人)、家庭裁判所が選任した相続財産管理人によって、被相続人の債権者、
あるいは被相続人から遺贈を受ける者に財産を支払ったり、分配したりする制度です。
☆特別縁故者に対する相続財産の分与
・被相続人の負債の支払いや遺贈など財産を清算してもまだ財産が残っている場合、家庭裁
判所は、請求により、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた
者、その他被相続人と特別な縁故があった者(特別縁故者)に、相続財産の全部または一部
を与えることができます。
☆結局、相続人がいないとき
・相続人の不存在が確定し、清算手続きも完了、また請求による特別縁故者に対する財産分
与も完了してもなお、財産が残った場合、共有財産であれば、共有者に帰属し、そうでな
いときは国(国庫)に帰属します。