主な業務紹介
◇遺言書 ①
☆遺言(いごん/ゆいごん)
・あなたの死後の財産のことなどについて書き残すことを遺言(いごん/ゆいごん)と言いま
す。
・例えば「私が死んだら、私の財産はすべてÅさんに与える」というように書き残すことで
す。
<留意点>
①遺言は、遺言者の自由な最終意思を確保するための制度であること。
②遺言は代理人よってすることはできません。
③厳格な方式で、一定の事柄について行う単独行為であること。
④遺言の効力は死後に発生するので、生存中は一定の方式によって取り消すことが
できること。
☆遺言は誰でもできます(遺言能力)
・満15歳になればだれでもでき、制限行為能力者の規定は適用されません。
(制限行為能力者=未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人)
・ただし成年被後見人は、事理を弁識する能力を一時回復した時に、医師2人以上の立会い
の下で遺言しなければなりません。
☆どんなことが遺言できるのか
<遺言ができる例>
①認知(民法781条2項)
②財産の処分(遺贈: 964条)
③未成年後見人及び未成年後見監督人の指定(839条1項、848条)
④相続人の排除及びその取消し(893条1項、894条2項)
⑤相続分の指定及びその指定の委託(902条1項)
⑥遺産分割方法の指定、その指定の委託(908条)
⑦相続開始の時から5年以内における遺産分割の禁止(908条)
⑧相続人間の担保責任の指定(914条)
⑨遺言執行者の指定およびその指定の委託(1006条1項)
⑩遺留減殺方法の指定(1034条ただし書)
(注) ①、②、④は、生前でもできます。
☆遺言には3種類があります
・遺言は遺言した人が亡くなることによってはじめて効力が生じます。ですから、亡く
なった人に遺言の内容を確認することはできません。
・民法では、亡くなった人の最終意志であることを確かなものとするため、厳格な方式
が定められています。この方式を満たしていない遺言は無効となります。
・また、同じ証書に2人以上が遺言することはできません。ビデオで遺言することもで
きません。
<遺言の方式>
①自分の手で書く(自筆証書遺言)
(注)あくまでも自筆作成です。必ず日付、氏名も書き、印を押すこと。
②専門家に作ってもらう(公正証書遺言)
・遺言者が公証人に遺言の内容を言い、公証人が遺言書を作成するもので、
証人として2人以上の立ち合いが必要です。
・公正証書遺言は、効力が否定されることが極めて少なく確実です。
・遺言書作成には、遺言人と証人の署名、押印が必要です。
・原本は、公証人役場に保存されます。
③内容を秘密にしておきたい(秘密証書遺言)
・亡くなるまで遺言を秘密にしておきたい場合です。
・方法は、遺言を書いた証書に遺言者が署名、押印し、それを封筒に入れ、
証書に用いた印鑑で封印します。
・さらに、この封書を公証人1人及び2人以上の承認の前に提出して、必要事
項を書き留めます。
☆特別な方式による遺言
・次の4つの場合には、特別な方式の遺言ができます。ただし、これは臨時的なものなの
で、普通の遺言ができるようになった時から6か月間生きていれば失効します。
①臨終が近いとき(死亡危急者の遺言)
・口頭で述べるだけでは有効でありません。
・証人3人以上の立会で、その1人に遺言の趣旨を言い、その証人がこれを筆
記し、遺言者と他の証人に読み聞かせ、間違いないことを承認したのちに署
名・押印して、成立します。
・ただし、成立後、20日以内に家庭裁判所の確認を得なければ有効となりま
せん。
②伝染病隔離者の遺言
・警察官1人と証人1人以上の立会によって遺言書を作成することができま
す。
③航海の途中(在船者の遺言)
・船長または事務員1人および証人2人以上の立会によって遺言書を作成する
ことができます。
④沈みかけた船の中(船舶遭難者の遺言)
・証人2人以上の立会いによって口頭で遺言をすることがきます。
・証人が筆記し、署名・押印し、かつ証人の1人または利害関係人から遅滞な
く家庭裁判所に請求して確認を得ることで効力が生じます。