主な業務紹介
◇遺言書 ②
☆遺言の有効と無効
<遺言の効力の発生時期>
・遺言者が亡くなった時から効力が生じます。
・なお、遺言に停止条件があった場合は、その条件が成就した時から効力が生じます。
<遺 贈>
・遺贈とは、包括または特定の名義で、その財産の全部または一部を処分することです。
・遺言者は、これができます。
・遺贈で利益を受ける者を受遺者といいます。
・受遺者は、遺言者が亡くなった時に生存していること。死亡していれば、遺贈は無効と
なります。
<遺贈の承認と放棄>(特定遺贈のケース)
①遺贈の承認
・遺贈は、単独行為なので、遺贈の承認は必要ありませんが、遺贈義務者その
他の利害関係者は、相当の期間を定めて、その期間内に、受遺者に承認する
のか放棄するのかを催告することができます。
・この期間内に、遺贈義務者に意思表示しないときは、遺贈を承認したものと
みなされます。
②遺贈の放棄
・受遺者は、いつでも遺贈を辞退できます。
・その効力は、遺贈者が亡くなった時にさかのぼって生じます。
・家庭裁判所に申し出る必要はありません。
☆遺言書の検認
・遺言書は家庭裁判所の検認が必要です。
・遺言書を保管していた者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、家庭裁判所にこれを提
出して「遺言書の検認を請求」しなければなりません。
・検認は、偽造や変造を防ぐことやどのような用紙が使われているか、文具は、署名、日
付などを記録する手続き。
・保管者がいない場合で、相続人が遺言書を見つけたときも同様です。
・つまり検認は、一種の証拠保全的な手続きですので、検認請求をしなかったからといっ
て、遺言の効力には関係ありませんが、後日のトラブルを防ぐためにも検認請求をして
おきましょう。
・したがって公正証書遺言は、必要ありません。
・封印してある遺言書は、家庭裁判所で、相続人またはその代理人立会がなければ、開封
できません。
☆遺言の執行
・遺言書に遺言を実行する人が指定されている場合、その人を遺言執行者といいますが、相続人の代理人とみなされます。
・遺言執行者には、相続財産の管理その他遺言の執行に関する必要な行為すべてを行うことができる権利と義務を与えられます。
・遺言執行人には、未成年者、破産者はなれません。
☆遺言の撤回
・遺言は何回でも書き直すことができます。
・この場合、後の遺言が有効となります。(※必ず遺言の方式によること)
・また、撤回される遺言と同じ方式である必要はないので、例えば、公正証書遺言を自筆証書や特別な方式による遺言で撤回することができます。
・遺言者が、「この遺言は撤回しない」と言ったとして、撤回することができます。
・遺言者が、生前に遺言書を破棄したときは、遺言を撤回したものとみなされ、また、遺贈の目的物を故意に破棄した時も同様です。
☆自筆遺言書(例)
遺言書
第1条 遺言者は、遺言者の有する預貯金の2分の1を、長男□□□□(氏名)(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
第2条 遺言者は、第1条記載の預貯金を除くその他一切の財産を、次男□□□□(氏名)(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
第3条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男□□□□(氏名)を指定する。
第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、長男□□□□(氏名)指定する。
付言 長男□□□□(氏名)に多く相続させることにしたのは、長男□□□□(氏名)に家を守ってもらいたいからです。また、次男□□□□(氏名)には自宅新築時の際に援助しました。
これからもお母さんの気持ちを理解して、兄弟姉妹仲よく暮らしてください。
平成 年 月 日
住所 高知県安芸郡安田町唐浜7125番地2
遺言者 □□□□(氏名) 印
(留意点)
1. 紙、ペン、印鑑、封筒を用意。
2. 現在の資産(不動産、預貯金など)と誰に相続させる(遺贈する)か、メモにまとめる。
3. 文例集など参考にして、下書き(原案)をしてみる。
4. 下書き(原案)を読み返し漏れがなければ、正式な遺言書をペンで書く。全て自筆(自分)で書く。ワープロや代筆は禁止です。
5. 日付を入れて、自分の名前を書き、印鑑を押す。認印でも構わない。
6. 訂正箇所があれば、全て書き直すのがよい。訂正方法が間違っていれば、無効な遺言書となることがある。
7. 完成した自筆証書遺言は、弁護士や行政書士等に確認してもらいましょう。
8. 封筒に入れて、封印をする。(封印は必ずしも必要ではない)
9. 封書の裏に案内文を書き、推定相続人、受遺者、信頼のおける友人、遺言執行者などに預けておくか、自分で保管する。机の中などに隠しておいたら、死後見つけてくれなかったり、勝手に破棄されたりする可能性がある。
10. いつでも書き直しができます。新しい日付の遺言が有効です。前の古い自筆証書遺言はできれば破棄しましょう。
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